外国関連特許ニュース

No.2(1999,10,28)、アメリカ人発明者保護法の改正法案

 「アメリカ人発明者保護法、1999」と称するH.R.1907法案が、1999年8月4日に下院を通過した。提出されたこの法案は、審議のため上院に送られ、現在、上院司法委員会に係属中である。この上院司法委員会の委員長であるオーリン・ハッチ(Orin Hatch)氏は、この法案を支持すると公式表明している。
  しかしながら、その法案が討議・採決のために上院に送られる前に、その委員会での大多数の賛成が得られなければならないのだが。他の懸案中の法律の量を考えると、今期中の第1セッション終了前に、上院がこの法案を審議する可能性はほとんどないであろう。なお、この法案の各章の概要を以下に示すことにする。

発明者の権利
 この法案の第1章は、経験の浅い個人出願人を、不正な発明プロモータから保護するものである。アメリカでは一般に、個人出願人の発明を市場に出す手助けをする”発明プロモーション”会社を、個人出願人が使っている。近年、多数のそのような会社が個人出願人から搾取している。この法案の一部は、そのような不正な行為を抑制することを目的としている。

先発明者の保護
 この法案の第2章は、先発明者の製造に対する特許侵害責任についての防御を創成する。この発明者は、特許出願日の少なくとも1年前に実施化し、かつ出願日前にアメリカ国内で”商業的に用いている”ことが必要とされる。この防御する権利を与えられた者は、特許権所有者から発明を引き出したのであってはいけない。一方、特許権者は、先使用を理由とする無効であるとの主張から保護されるのである。

特許期間の保証
 第3章では、特許商標庁(PTO)で異常な遅れがあった場合に、登録日から20年という通常の期間を超えて、特許期間満了の日を延長するものである。
この法案は、

  • PTOが特許出願人への返答を怠ったり、その他の査定を各審査段階で下せない場合
  • PTOが、いくらかの遅れを勘定せず、3年以内に特許権を付与できない場合
  • その特許が抵触、秘密指令、または上訴などにより遅れた場合
 

に期間延長するのである。

海外で公表された特許出願のアメリカ国内での公表
 第4章では、出願から18ヶ月を経過した特許出願(内容)の公表を必要としている。他の出願は、出願人の選択により公表してもよいとしている。
  この章では、審査中の出願にクレームされた発明を使用するためのロイヤリティーを受け取ることが出来るという(出願公開の日から始まる)仮の権利を与えるとしている。このロイヤリティーは、公表された特許出願の「実際に警告を受けた」発明、及び公表された出願の中にクレームされた発明に実質的に同一の発明を使用する場合にのみ、有効である。

特許訴訟削減法
第5章では、PTOでの特許の再審査手続きに参加するための、より大きな機会を第三者に与えるとしている。特許権者がPTOに応答書類を提出するたびに、第三者は書面にしたコメントを提出することができるのである。
  さらに、PTO特許上訴・抵触局に対して、再審査された特許が有効であるとしたPTOの決定に対して、CAFCに上訴することができるのである。しかしながら、再審査手続きに参加した第三者の請求人は、その後 の裁判手続きや再審査において訴えたり、再審査中に彼らが「訴えたまたは訴え得た」特許の有効性についての事柄を再度訴えることを禁じている。

特許商標庁
 第6章は、予算・人員・権能の獲得を含む運用の管理に関する事柄において、PTOに対し、商務省からの独立性を与えている。PTOは、政府全体での人員の最高限度(人数制限)について免除されるであろう。さらに、PTOの幹部職員は、50パーセントのボーナスを受け取ることが出来るのである。公的諮問委員会も、この章で制定されている。他の諸規定も含まれているが、アメリカ特許法に何らかの直接的な変化をもたらすものではない。

法律事務所ニュース
 先日、Arnold , White & Durkee事務所と、Howrey & Simon事務所が合併するであろうとの報告があった。その合併により225人の弁護士を擁する、アメリカ最大の知的財産法律事務所が生まれることになる。
  Arnold , White & Durkee 事務所のmain officeは、テキサス州ヒューストンにある。ほかにもテキサス州オースティン、イリノイ州シカゴ、ミネソタ州ミネアポリス、カリフォルニア州メンロパーク、ワシントンD.C.にも 事務所がある。Howrey & Simon事務所は、ワシントンD.C.の事務所に120人以上の弁護士が所属している。

追記
 9月28日、クリントン大統領は、CAFC(Court of Appals for the Federal Circuit)の判事として、リチャード・リン(Richard Linn)氏を指名した。リン氏は、Foley & Larder 法律事務所のワシントンオフィスの所員である。リン氏は他の事務所の所員であり元特許庁審査官である。
  リン氏は、ジョージタウン大学法学部を1969年に卒業した。ギル・リッチ(Giles Rich)判事が、今年の6月に亡くなったことにより出来た空席を手にいれることになる。